新しいものにはない独特の味を持つヴィンテージウォッチ。 それを身につけることは、自分らしさを表現することなのかもしれません。
今回はヴィンテージウォッチを選ぶときのポイントと、ファッションへの取り入れ方を、 新刊『これまでの服が似合わなくなったら。〜「40歳、おしゃれの壁を乗り越える」〜』が話題の人気スタイリストの山本あきこさんに綴っていただきました。
今回、山本さんが選んだのは、オメガの1960 年代製アンティークウォッチとハミルトンの「カーライル」の二本。
01. オメガ 1960 年代製アンティークウォッチ
1960 年代製のオメガの手巻アンティーク。素材には金の純度37.5%の9K を使用し、比較的純度が低いため、 品のあるシャンパンゴールドのような薄めのカラー。ブレスも9K のオメガ純正オリジナルのブレスで、編み込み装飾が施されたハイコストで手の込んだ逸品。
02. ハミルトン「カーライル」
1930 年代に製造されたハミルトンの名品を、1990 年代頃に蘇らせた復刻シリーズ「レジスタードエディション」の「カーライル」。 インデックスのフォントやトノー型ケースなど、原型モデルと同様にアールデコ調を意識したデザイン。 裏蓋やベルト裏面には、アメリカの鉄道時計として名を馳せたハミルトンの当時の旧ロゴがあしらわれています。
ヴィンテージウォッチを選ぶ時にまずこだわりたいポイントは、「定番アイテムにはない色味やデザインで、なおかつ自分がときめくブランドのものを選ぶ」こと。
ヴィンテージウォッチの良さは、新作にはないような味のあるデザイン、そして、人とかぶりにくくどこかひとくせある、そんなアイテムが選べるところだと思います。
私もいくつかヴィンテージウォッチを持っていますが、ベルトの色がネイビーであったり、文字盤の形が変わっていたり。これも新品ではチョイスしないような色や形をあえて選んだりしています。 また、新品ではなかなか手が届きにくいあこがれのブランドの時計が、お値打ち価格で買えるところもヴィンテージならではの良さ。
そういった観点からも自分らしさが宿るヴィンテージウォッチこそ、“好き”を基準に選ぶのがおススメです。
まず一つ目はオメガのブレスレットタイプを選びました。
細く華奢な時計はひとつ持っているととても使えるのでおススメ。
この時計を気に入った理由は、ギラギラし過ぎないシャンパンゴールドのような味のあるゴールドの色合い。チェーンの部分に編み込み装飾がされていてアンティーク感があり、品があるところが気に入りました。 ブレスレットタイプの時計は、大人になればなるほど欲しいデザインのひとつ。女性らしい手元を叶え、大ぶりな時計には出せない可憐な腕回りを演出してくれます。
< 相反する印象を手元に >
コーディネートのポイントは、ざっくりとしたニットに合わせたところ。コーデ全体を白のワントーンに統一しました。
ざっくりしたニットは、ほっこり感が出やすくカジュアルなイメージになりますが、そこに相反する印象を持つ華奢で女性らしい時計を手元に合わせることで、大人っぽさとカジュアルさをミックス。肩の力の抜けた経験値の高い女性を手元から演出したコーディネートです。 もちろん、シフォンのワンピースや柔らかい素材のブラウスなどフェミニンなファッションにも合いますが、ざっくりニットやメンズライクなオーバーシャツなどにあえて華奢な時計を合わせるのが私の好きな着こなしです。
時計と共にアクセサリーを合わせる時は、時計と同じゴールドカラーに統一しましょう。
もう一つ選んだのがハミルトンのベルトタイプのもの。
クロコ調のブラウンベルトとピンクがかった四角いフェイスとの組み合わせが全体的に上品な雰囲気で、年齢を問わず飽きがなく使っていけるところがお気に入りのポイントです。 また、文字盤のデザインが可愛く、それも私的ツボでした。
< きちんとさと女性らしさが両方叶う >
コーディネートはとことん正統派なファッションに。トラッドなネイビーのジャケットにシャツとスカーフを合わせて。
黒いベルトの時計に比べ、女性らしくありながらも、きちんとした真面目な印象が作れるところがブラウンベルトの時計の良さ。正統派なファッションにぴったりはまります。
ダブルのジャケットやシャツ、チェック柄のスカートやストール、スカーフやメガネなどの小物。コーデの中にこのような品のあるアイテムを投入するのがポイント。 今回合わせたようなジャケットやシャツ、スカーフなど、全体的にきちんとしたスタイルの時にクロコ調のブラウンが入ると、少しピリッと引き締めながらもさらに大人の品もプラスされるのでおススメです。 アクセサリーを合わせる時は、ゴールドはもちろんパールを合わせてさらに品を加えるのも女性らしさがグッと出ておススメです。
(山本あきこさん プロフィール)
1978年生まれ。女性誌や広告など多くの媒体でスタイリストとして活躍した実績と経験を持つ。その経験を活かし、モデルだけではない様々な人たちに似合い、取り入れやすい独自のコーディネート理論を確立。 「センスは持って生まれたものではなく鍛えられる」という信念のもと、一般の女性向けにスタイリングアドバイスを行う。 「どんな人でもいつからでもおしゃれになれる」をモットーにこれまで1万人以上の女性たちを変身させてきた。 著書に『いつもの服をそのまま着ているだけなのになぜだかおしゃれに見える』『毎朝、服に迷わない』(いずれもダイヤモンド社)などがある。 新刊『これまでの服が似合わなくなったら。〜「40歳、おしゃれの壁」を乗り越える!〜』(幻冬舎)が好評発売中。
毎回ゲストを招いてヴィンテージウォッチについて綴っていただく「今、ほしいのは、ヴィンテージウォッチ」。 第4回目のゲストは、航空会社の客室乗務員を経験したのちアパレルの世界に入り、スタイリストなどを経て 現在はスタイルプロデューサーとして活動する廣瀬規子さんにご登場いただきます。
お楽しみに!